もう少し書きたくて

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  昨日は、盲学校の直面している現実のことについて書きました。0歳児から中途視覚障害者の教育までを期待され、しかも視覚障害者の人数が少ないためと、重複障害児が増加しているために、視覚障害単独の盲学校ではなく、複数の障害児の教育を担当する特別支援学校(総合養護学校)になって行っている所もあります。視覚障害児〈者〉に対する教育や福祉の専門性といったものが保たれるのか、私はとても危惧しています。

  こんな厳しい現実にさらされて四面楚歌の盲学校、でもその中で、ユニークなアイディアを駆使して、その現実に立ち向かおうとしている方たちもいるのです。
  岐阜盲学校長は、その1人です。
  もう少し、そのことを書きましょう。

  5年前、校長先生が教頭として岐阜盲学校におられた時、私は、職員研修会の講師として呼んでいただいて「今盲学校に期待されていること」というテーマで講演させていただきました。その講演資料を、教頭時代の泉先生がテープ起こししてくださったのが、泉先生と親しくお話しをするようになったきっかけでした。

  その後視覚障害児早期教育研究会でお目にかかったり、昨年のロービジョン学会と視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同学会でお目にかかる度に、盲学校教育の現状を打開するためのとてもすてきなアイディアを話してくださいました。

  今、一般的に盲学校の寄宿舎は、土日閉じていて、児童生徒は、家に帰らなければならないことになっています。これは、一つには家族との結びつきを大事にするという考えからおこったことなのですが、生活問題を抱えている中途視覚障害者の中には、土日に帰宅できる所がない人もいます。又、家庭が育てられないという養護性をもった児童も週末帰宅できないのです。

  この事態の打開策に泉先生曰く「月曜から金曜日までは寄宿舎で教育委員会の管理、土日は福祉施設で障害福祉の管理で良いじゃないですか」といわれました。うん、グッドアイディアです。

  さすがに今の岐阜盲学校でも、そのようにはできていないようですが、泉先生は、主張して、後期は土日も寄宿舎を開けているのです。「国家試験の勉強を集中的にやってもらうためもあるし」とのこと。目標は、1年中土日も必要があれば寄宿舎に学生がいられるようにすることなのだそうです。

  盲学校には、今知的障害などとの重複の児童生徒が多く、普通レベルの学科を学習できる生徒が、学校に1人とか2人とかいう状態も珍しくありません。同じ年齢の友達を作りたくても、同等に話し合える仲間を見つけることはすごく難しいです。在籍児もとても少なくなっていますから。
  仲間の大切さはいうまでもないのですが。

  そうしたら泉先生曰く「インターネットがこれだけ普及しているのだから、いくつかの盲学校を結んで、同じようなレベルのこどもたちが授業を一緒に受けられるようなシステムをつくったらどうか」と提案されていました。
  予備校などでは良くやっていますよね。人気の先生の授業を衛星中継か何かで流しているというの。そう、できないことではないけれど、思いつかない、すごい発想です。

  視覚障害児・者のためなら何でもやってみよう、組織とか既存の考え方とかにとらわれずにやってみよう。どうもこの姿勢が、今盲学校が直面している難局を乗り切る鍵なのかもしれません。

  私も、相当に型破りのつもりですが、発想のユニークさや柔軟さでは、泉先生に遠くおよばないなと思いました。