我が国の視覚障害者の実態を理解し65歳問題を理解しよう

 1 どんな所でプレゼンさせていただいたのか 

 私が高知女子大学を退職して東京に戻ってきた時、視覚障害リハビリテーションのことだけでなく、広く知識を学びたいと思い、いろいろとその場所を探していた時に、東大の医療政策研究所が社会人のために医療政策を学ぶチャンスを作っていることを知りました。
 そこの募集に応募して、運良く選考をバスし、2014年4月から1年間、「患者の意思決定支援」をテーマのグループの仲間と学ぶことが出来ました。
 このコースは、残念ながら今はないのですが、そこで学んだ方達が、同窓会を組織して、定期的に「情報交換会」を行っています。
 その情報交換会で、2022年6月16日に、視覚障害に焦点を当てながら、65歳問題についてお話しをさせていただくチャンスをいただきました。

 そのプレゼンテーションをPDFファイルで公開いたします。
 高齢視覚障害者のリハビリテーションのことや、介護保険のこと、そして65歳問題に関心を持っておられる
方達の参考になればと思います。

   視覚障害者の理解と65歳問題.pdfをダウンロード  

 2 発信した情報の受け止められ方に感謝

 「情報交換会」を行った後は、必ずその内容について、記録をまとめて、MLにて、メンバーに報告してもらえるのですが、私のプレゼンについては、以下の通りにまとめていただきました。 

<* 吉野さん ご講演要旨*>

視覚障害者の特殊性についてなかなか理解されていないが故に、必要とするサービスが受けられない現状がある。
視覚障害者とは多くの方は「全盲」と考えがちであるが、全盲の方が1割、ロービジョン(弱視)の方が9割を占めている。

またロービジョンでも見え方の複雑さにより一人ひとり症状が異なる。年齢別にみると70歳以上が半数、60歳以上が72%を占める。幼い頃からの視覚障害者と中途視覚障害者では、課題もニーズも異なる。
幼い頃に視覚障害になった場合は、視覚以外の感覚を活用することで行動し、生きる術を身につけている。一方で、情報の8割以上を視覚に頼る習性から、中途視覚障害者は「なにもできない」と強いショックを受け無気力状態となり、8割が自殺を考えるとも言われている。

このように症状も障害になった時期でも一人ひとり状況が異なる多様な障害であることが理解されていないため、支援制度についてもミスマッチが生じている。そのひとつが「65歳問題」である。
65歳になると障害者手帳をもち、自立支援給付を受けていた人が介護保険制度に移行することを行政から迫られる。それまでほぼ無料で受けられていたサービスが1割負担(所得により2割負担)となる。また身体的介護を中心に組み立てられた介護保険では視覚障害者が必要とする情報障害の特性を考慮したサービスが受けられなくなってしまう。また併給についても十分に説明されておらず、本当に必要なサービスからは程遠いのが現状である。
その根幹には、視覚障害者への理解不足と必要な情報を得られない社会システムにあることを理解してほしい。
 引用ここまで

 3 視覚障害の障害特性や、その多様性について一般社会に理解していただくことは、とても難しいと、常々感じています。私のプレゼンテーションは、いつもいろいろなことを盛り込みすぎて、分かりにくくなっていると反省していますが、このような反応が戻ってくると、とても嬉しいです。
 さらに良い講演が出来るように努力したいと思っています。