身体障害者手帳3級になっていろいろと学んだこと

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:    

 月刊視覚障害に連載していた「高齢視覚障害者を取り巻く問題を直視する」が終了し、なんとなく気が抜けてしまったのか、このブログに記事を書くことから遠ざかっていましたが、私が1955年(8歳)の時に取得してから、ずっとそのままにしていた身体障害者手帳で、肢体障害が重くなってきたと感じて、肢体障害の再診断をして頂き、今日3級の手帳を受け取りに区役所に出かけて、いろいろなことを体験したので、そのことを書きたくなって、久しぶりに自分のブログを開いて見ました。
 1月の末から、約3ヶ月、季節は、春、世の中コロナ禍で大変ですが、私のベランダの植物たちは、いつの間にか春の顔になりました。休眠明けのシクラメン、ケアに失敗して、今年は花が見られないと勝手に思っていたら、こんなに鮮やかに満開になりました。それでは本題に入ります。

ほぼ満開のシクラメン、華やいだ赤色の花
2年目も無事咲いたシクラメン

 1 身体障害者手帳の等級変更の診断を受けようと思った訳

 今日までの私の手帳の等級は、視覚障害が5級、肢体障害が4級で、合わせて4級ということでしたが、68歳で圧迫骨折をした後、変形性関節症の痛みもひどく、介護保険で電動車いすを借りての生活でしたから、肢体障害は、もっと重度なのではないかと思い始めたのです。ちょうど私の整形外科の主治医が、障害者手帳の等級を決める診断を行う「指定医」でしたので、意見を聞いてみたら、「脊髄の障害と両足の変形性関節症や、関節可動域が、90°ないことなどを考慮すると3級に相当する」と言われたので、診断書を書いていただいて、審査を受けることにしたのです。
 申請の書式は、本当なら障害福祉課の窓口に取りに行かなければならないのですが、コロナ禍の特別措置で、電話で依頼すると、私の自宅まで送ってくれました。その診断書の書式を持って病院に行き、診断書ができるまで、約2週間、それと申請書類や写真を持って区役所の障害福祉課に手続きに行って、診断書が認定審査会で認められるまで、2ヶ月近くかかって、やっと「交付します」というお知らせが来たのです。
 診断書と申請書を持って窓口に提出に行った時、「もし3級になったら、何が変わるのか」という説明を、一通りしてもらいましたが、変わる点で魅力があったのは、(1)私だけでなく、介護者の鉄道などの交通費が半額になるため、二人で一人分で乗車できる、(2)障害者のためのタクシーチケットが年間3万円分給付される、(3)本来75歳から後期高齢者として、医療費が1割負担になるのだが、手帳3級だと、73歳からでも後期高齢者として登録できる等の点でした。

 2 全部の手続きを終えるのに2時間半かかった。ちょっぴり疲れました

 「身体障害者手帳の交付手続きには時間がかかります。時間にゆとりを持っておいでください」と交付の案内所に書いてあったので、「長くかかるんだ」と覚悟して障害福祉課の窓口に、午前9時少し過ぎた頃につきました。

 まず、新しい手帳を受け取るための書類を書いて(私が視覚障害と分かると、細かい部分は担当者が代筆してくれたので助かりました)。それから古い手帳を返還するための書類を書き、まだまだ印鑑が何度も必要になりました。こうして新しい手帳の交付手続きが終わると、今度は、新しく受けられるサービスの説明がありました。私の場合、民営バスに介助者の方と乗る場合、二人で一人分の運賃を払えば良いという証明書の発行と、NHKのテレビの受診料金が全額免除になるという説明と、それから医療保険が後期高齢者扱いになるという説明が、利用できるとのことでした。
 「あれ確かタクシーチケットも出るのではないですか」と担当者に聞いたら「あ、それは別の担当者が後から手続きします」とのこと。ちょっとびっくり。「サービスごとに担当が違うと、説明が漏れたりしないのかな」と疑問になりましたが、後で伺ったところ、「初めて手帳を交付された方には、しっかりとした相談体制がある」とのことでした。それにしてもどうしてこんなにバラバラにやるのかなと、疑問になりました。

 ところで、NHKのテレビ受診料の全額免除は、身障手帳の等級が上がったからではなくて、一昨年から私が「住民税非課税」になったからなのだと聞き、このことも知らなくてびっくりしました。私は、ずっと受診料半額免除で、それが住民税の課税と非課税で変わるなんて思ってもみなくて、これでも障害者福祉制度を専門に勉強してきたのに、勉強が足りなかったと思いました。NHKへの受診料の全額免除の申請書も、窓口の方がしっかり代筆してくれて、所定の封筒に入れた書類を帰りにポストに投函すればすむようにしてくれました。
 そして、別の担当者がタクシー券の説明と交付の手続きに来て、ここまでで1時間10分ほどかかりました。

 3 後期高齢者をカバーする医療保険に加入、国民保険を脱退

 障害福祉課での手続きが終わると、健康保険の窓口がある別の階に行き、まず後期高齢者の保険を扱っている窓口で、現在の国民保険との間で、支払額などがどう変わるかの試算をしてもらい、後期高齢者保険に今日から加入した方が得であることの説明をしっかり受けて、またここでも何種類も書類を書いて、印鑑を押して、加入の手続きが終了すると、次に国民保険からの脱退手続きの窓口に行って、脱退手続きを行いました。この脱退の手続きは、書類1枚にサインして簡単に終わりました。健康保険関連の手続きで、約50分ほどかかりました。
 1回ですんで良かったけれど、とにかく制度が複雑で、それに従って手続きも複雑、これ何とかならないのかなと思いました。
 窓口の担当者が、みんな辛抱強くて優しかったので救われた気持ちにはなりましたが。

 4 ちょっとしたエピソード

 手続きが長くかかったので、その間に障害者用のトイレに入った時の話です。
 乗っていた電動車いすを下りて、便器に移ろうとした時、左足が床の出っ張っている物に引っかかってしまい、体がねじれて、倒れそうになりました。幸い、洗面台と便器のところにあった手すりにつかまって、かろうじて倒れないで済みましたが、体がねじれるような格好でしたから、あのまま倒れたら怪我をするところでした。
 何につまずいたのか不思議で、足下の床を見ると、足で踏んでお水を流すスイッチのネジの上の蓋が取れていて、それに引っかかったのだと分かりました。「このままだと、他の人もつまずくかもしれない」「どうしようかな、役所の人に言おうかな、辞めようかな」と少し迷ったあげく、「事故になったらまずいし」と思って、障害福祉課の窓口の方に事情を説明し、現場を見てもらいました。
 私と一緒に来てくれた方は、丁寧に話を聞いてくれて、メモを取って「上司の方に話します」と言ってくれましたので、少しほっとしました。
 床に飛び出した部分は、本当にちょっとで、健常者にとっては、何の支障もないのかもしれませんが、障害者用のトイレを使うであろう高齢者や障害者取っては、結構危険かもしれないと思いました。

 5 制度も変わり、自分の事情も変わるので

 障害福祉の制度を教えていたこともある私です。受けられるサービスについても、ちゃんと理解していると思っていましたが、制度は刻々と変わり、そして私自身の経済状態や生活の状態も変わるので、持っている情報は、どんどん古くなってしまっているのだと、つくづく感じた1日でした。そして、バリアフリーを目指して建築された建物も、メンテナンスをきちんとしないと、とんでもないバリアが出てくるのだなとも思いました。

 いろいろあって、とても勉強になりました。そして少し疲れました。