バリアフリールーム奮戦記

 私が電動車いすを利用するようになって1年3ヶ月になり、これを利用することによって、全国で行われる学会や式典などに腰の痛みを気にせずに出席出来るようになりました。その恩恵は計り知れないのですが、電動車いすでの旅には、いろいろと難しい問題もつきまといます。一つは、ホテルのお部屋の入り口の段差の問題、バスルームへの段差の問題、そして車いすをおけるだけの広さが部屋にあるのかという問題等々です。

 最近は、これらの問題を回避するためにバリアフリールーム(昔はハンディキャップルームといっていました)を予約することが増えてきました。でも、バリアフリールームだから、必ずしも使いやすいのかというと、そうでもないと感じることも多いのです。

 ところで、私は、マヒがあるから車いすを使っている訳ではありません。長く立っていると、腰痛になるし、左膝関節は、元々変形していて、やはり長く立ったり歩いたりしていると痛みが出てくるので、長く立っていたり歩いたりしなくて良いように電動車いすを使っています。だから部屋の中は、伝い歩きで移動しますし、湯船に入るときも、足も使って入ります。

 さて、8月の中旬に新大阪での会に出席するために泊まったホテルのバリアフリールーム、入り口のドアは、内側に軽く押すだけで開く作りになっていて、もちろん段差がないので車いすに乗ったまま部屋に入ることが出来てとても助かりました。ところがです。部屋がとにかく広いんです。30畳ぐらいあるだだっ広い部屋のおくにツインベッド、反対のすみに応接セットがおいてあります。車いすを使わずに杖で歩こうとすると広すぎて大変でした。確かに車いすの移動なら楽なんですが。

広い部屋をパノラマ写真で撮影
広い部屋全体をパノラマで、

 そしてバスルームなのですが、バスタブ全体が高く作られていて、そのバスタブに平行して長い台(イス)が置いてあり、まずこの台に車いすから移動してから、バスタブに入るという形なのだと思いました。

湯船と平行においた台
湯船の入り口
湯船全体の写真
湯船全体

ただ不思議なことに、バスタブに移動しようとするところにお湯の温度を調整するコックがあって、それが邪魔になって、上手く移動できないのです。バスタブは座って肩まですっぽりお湯につかれるので、入ってしまえば、ゆったりと暖まることが出来て良いのですが、出る時も、腕の力が結構必要で大変でした。

 想像するに、腕の力が強い方で足にマヒのある方を想定して作られているのかなと思いました。

このバリアフリールーム、どうもシングルルームを3つほどつぶして作ったのかなと思います。とにかくだだっ広い。視覚障害のある方だったら、部屋の中で迷ってしまいそうな部屋でした。

 このホテルで面白いものに出会いました。それは、車いす用のエレベーター。車いす用のエレベーターが見当たらないので、フロントの方に聞いたら、「花嫁専用」という札のかかったエレベーターに案内されました。中は、とても広く作られていて、車いすで充分回転出来るようになっています。花嫁さんが居住まいを確認出来るようにと置いてあるのでしょう、広い鏡、車いすがバックで出る時にも充分利用可能です。なるほど、このホテルは、結婚式が売りのホテルなんだと感心しました。

 大阪での用事を終えて、久しぶりに知人に会うために神戸へ、ここでは、ポートビアホテルのバリアフリールームに泊まることになりました。

ボタンのところに花嫁専用と書いた札がかかっている
結婚式ようと兼用のエレベーター

 

ポートビアホテルのバスタブの写真
バスタブの写真

 このホテルのお部屋は、デラックスツインの広さでしょうか。ちょっと贅沢な感じですが、とても落ち着く部屋でした。バスタブの高さは、私には少し高いけれど、まあ使いにくいということではなかったです。

天井に近いところにあるシャワーノズル
天井に届きそうなところにあるシャワー

 

ただ、シャワーが、一番高いところにかけてあって、これをたたき落とすようにして、下に下ろすのが大変でした。バスタオルなどは、きちんと下にかけているのですが、シャワーの方にまで頭が回らなかったのだと思います。

 私の身長は126センチ、小学校2年生の平均身長といったところなので、バリアフリールームといえども、鏡の位置などが高くて見えないなどというのは日常茶飯事に起こります。

 今までいろいろなホテルのバリアフリールームに泊まりましたが、一つ一つみんな作り方が違っていて、どんな障害のある方が使うことを想定しているのか良く分からないものが多いです。一口に車いす使用者といっても、みんな一人一人その障害の出方は違います、私みたいな背が低くてマヒがないけれど膝簡潔の曲がりが悪いといった障害者は特殊なのだと思いますが、それにしても、あまりにも作りの違うバリアフリールーム、お部屋に入って試して見ないと使えるのかどうか分からない。ばくちをしている気分になったりします。バリアフリールームの設計をするときに、理学療法士や作業療法士などの専門家の意見を聞いているのかな。聞かれた専門家も困るのかなと思ったりします。

 それから、バリアフリールームがどんなお部屋なのかという情報が、もっと細かくネットなどで見られると良いなと思いますし、フロントの方に問い合わせたら、答えてもらえるようだと助かります。少なくとも「こんなはずではなかった」ということがないようにして欲しいと思っています。