歩行器での銀ブラ寒かったけれど楽しかった

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  3月25日、今日は友人と歩行器で銀座を歩く約束をした日だった。
  24日の夜に、所沢で遅くまで研究会をして、その仲間と楽しい夕食をしたので、私は少々疲れていたし、朝起きてみると、24日の日に引き続いて冷たい雨が降っていて、とにかく寒いので、せっかくの友人の誘いだったが、「今日は歩行器なしで会いましょう」と電話をした。
  そうしたら友人が「それはあなたの判断だけど、せっかくだからやらない」と言う。
  低血圧で朝起きてすぐはなかなか動けない私だけれど、午前11時を過ぎたころから「それではやって見るか」と言う気分になってきた。

歩行器の荷物かごに念入りにカバーをかぶせ杖もいれて出発

  両手でハンドルを操作するから、傘が持てない。それで私は、フード付きのジャンパーと、ビニールのズボンを着て雨よけの完全装備をした。スキーや登山ならこの格好で良いけれど、銀座を歩くにはちょっぴり場違いだなと思ったが、とにかく寒いし、濡れたくはないので仕方がない。歩行器の荷物かごには、カメラなどを積んだので、これも雨よけのビニールカバーを念入りにかぶせ、狭くて歩行器が使えない所に備えて杖も持って行くことにした。

  しとしとと降る雨の中を、山行きのスタイルで歩いて15分。冷たい雨が結構気持ちよかった。

  改札口に来て、普通の入り口から入ろうとしたが歩行器の横幅が広すぎて通れない。車いすなどが通るための広い改札口を通って中に入り、待っていた友人と合流。総武線と山手線を使って有楽町に出ると言う計画をたてていたので、早速エレベーターでホームに向かった。

歩行器でホームのエレベーターに乗ろうとしている所 エレベーターを降りて乗り換えようとしている所
  エレベーターにはなぜか先に高校生が4人ほど乗り込んでしまったので、歩行器を押している私と友人は、やっと中に入れた。エレベーターの正面にはホームへの階段とエスカレーターがあったが、健康な高校生達は平気でエレベーターに乗り込んでしまっている。
  若くて障害のない人は、階段やエスカレーターを利用してもらいたいなとつくづく思う。そうしないと乳母車を押した人や、大きな荷物を持った人、高齢者がなかなかエレベーターを使えなくなってしまう。「もっと啓発」が必要だな」と思った。

  電車が着いて乗り込むとき、ホームと電車の間が、1人では乗り越えられない。降りるときは何とかなったが、乗るときは人手が必要だと感じた。
  平日の午後なので、電車はさほど混んでいなかったが、歩行器は幅が大きすぎて他の乗客の邪魔になってしまう。電車に乗るときなどは、折りたたみができた、あの新モデルの方が良いと友人に言ったら「歩行器もTPOに応じて使い分けがあると良いのじゃないのかな。自転車と車を目的地に応じて使い分けるのと同じに」と言う。確かにそうかもしれない。

  そんな事を話している間に秋葉原駅に到着した。エレベーターでコンコースに降りたが、山手線のホームに上がるエレベーターを見つけるのに苦労した。乗り換えの経路を病院なんかで良くやっているような線と矢印などで床に書いておいてもらえると良いのにと思った。

雨の中銀座の通りを歩行器を押している所 傘を差した友人と記念撮影 銀座の象徴服部時計店の時計と私

 銀座の歩道は広々としていて段差もあまりなく、平日のためか雨のためかは分からないが、あまり人通りが多くないので、歩行器でもゆったりと歩けた。
 杖の時よりも安心してきょろきょろとあちこち見回す余裕があった。友人が一緒だからか、あるいは歩行器の方が安定しているからか、自分でも良く分からないが。

横断歩道を渡っているところ 横断歩道の人混みにまぎれている後ろ姿
  マクドナルドで昼食をしてゆっくりおしゃべりをし、そしてブランド店を見て周り、三越デパートで小さな買い物をして、鳩居堂と言う日本で一番地価が高いと言うことでも、またすてきな文房具が置いてあると言うことでも有名な文房具店で友人が買い物をするのに付き合って、随分長い時間歩いたのだが、杖の時のような疲れ方がなかった。

歩行器の椅子に腰掛けている所
  自分の買い物をするときや、友人の買い物を待つ、ほんのちょっとした時間、ブレーキをかけた歩行器の椅子に座っていられるので、それでどっと疲れたりしないらしい。
  
  私は昔母とデパート巡りをするのが好きで、食事も交えて6時間ぐらい歩き回ったものだけれど、最近は、歩くのも立っているのも辛くなって、目的の物を買うだけで一目散に帰ってきてしまっていたけれど、この歩行器を使ったら、またゆっくりとデパート巡りが楽しめるかもしれないなと思って、とてもうれしくなった。

  銀座からの帰りは、地下鉄を試して見ることにしていたが、ライオンビアガーデンで美味しいビールを3杯も飲んでしまって、すっかり気力が萎えてしまった。そこで歩行器でタクシーを利用するとどうなるのかと言う計画にトーンダウン。
  止めたタクシーのトランクの中に荷物かごを外した歩行器をたたんで入れて、マンションの前についたときは、私1人だったので運転手さんに下ろしてもらって、これは案外スムーズにできた。

  今朝起きて、正直少し足が痛くて、ちょっぴりつかれも残っていたが、あんな悪条件の中でも工夫次第でこんなに使えるのだから、歩行器も捨てた物ではない。

  書き忘れていたが、歩行器の利用者が私のように普段杖を使っている人だったら、歩行器に杖が立てられるように何か工夫があるととても助かる。トイレや狭いお店の中は、歩行器を預けて中に入らないと無理なので、その時は杖が必要だ。杖と言うのは使っているときはとても便利なのだが、持って歩くとなるとひどく扱いにくい。だから歩行器に杖のホルダーのような物がついていたら、とても助かるのだが。

  さて、結構面白い体験だったから、近いうちにまた場所を変えてやって見たいと思っている。