ようやくここでの生活が少し落ち着いて来た私に、また新しい事が起こった。
それは、今日メーカーの方が、3台のスウェーデン製の歩行器を持って、私の所に訪ねて来たからである。
私と歩行器がどうして出会うことになったかと言うと、高知福祉器機展で出会い、すっかり意気投合し、母の後見監督人もしてくれたうえるぱ高知の下元さんが、片方に杖を持っているので、母の骨壺が運べない私の頼みを聞いてくださって、母の49日の時にお骨を持って私と一緒に高知から来て、私の東京のマンションに泊まって行ったのだが、その時に、私の歩き方や重い荷物を背負っていることなどを見て「歩行器を使って見たら」とアドバイスしてくださったのがきっかけである。
高知にいる間に1度試して見ようと思っていたが、「歩行器ね」と言う感じもあったし、何となく忙しさにまぎれてそのままになっていたのだが、高知を離れるときに、下元さん達が開いてくださった送別会の時に記念品として「歩行器」の目録が送られたのである。
「引っ越しが落ち着いたらメーカーの人にいくつか歩行器を持って行ってもらうから、試して見て自分に合ったのを選んでください」と言うことで、東京に来てすぐにメーカーの方から連絡があり、そして今日来てくださったのである。
(上の写真は新発売のもの、下は従来型のSサイズのもの)
3台ともスウェーデン製、私が想像していた買い物かごが前についた、買い物バッグのようなものとは随分違っていて、ちょっぴりびっくりしたが、使って見るとタイヤが大きいせいか段差や坂もスムーズで、バランスも良かった。
3台の内1台は、背の高い人用のものらしく、一番低いところに調整してもハンドルが高くて無理だと言うことが分かった。
残りの2台は、それぞれ、従来からのものは、操作性が良く動かしやすいのだが、Sサイズだと幅が狭くて、腰をかけたときに窮屈。
新型の方は、少し幅が広いので腰掛けた時はゆとりがあるが、操作性は従来型に比べ、少し悪いような気がする。ただ折りたたむと小さくなるのが最大のメリット。
あれやこれや1時間ぐらい迷って、新型を1週間ほど借りる事にした。
ちょうど今日はいろいろと手続きに回る予定だったので、それを歩行器ですることにした。まず駅まで行ってレストランでお昼を食べることにした。駅からレストラン街に行くところが重い引き戸で、歩行器を操作しながらこの引き戸を開けるのに一苦労。見かねた中年のおばさまがドアを支えていてくれて、何とか通れた。
レストランの入り口にあった1段の階段が障害になって、入り口に歩行器を預けて食事をした。
それから駅前の郵便局に行ったのだが、3階に上がるエレベーターが見つからなくて、エスカレーターを使うことになったので、歩行器をたたんで左手で持って上がった。たためると言うのは便利だが、エスカレーターで歩行器はきついな。
郵便局の後は、体育館の定期利用の手続きに行ったが、ここでも3段ある段差に悩まされた。
最後は、自宅近くで買い物をしたが、このスーパーには大きなエレベーターがあり、歩行器の使用になんの障害もなかった。
なんだかんだで3時間以上歩き回ったが、確かに杖歩行の時より楽だなと思ったし、姿勢も良くなって、歩く速度も速くなったような気がする。ただ、まだまだなれなくて、手や足の変な所に力が入ったりで、いつも痛くならない所に筋肉痛が来たりしている。
もう1台の歩行器とどちらが良いのか、まだ何とも言えないけれど、二つ折りにたためると言うのはとても大きな魅力だと思った。
3月2日まで試すことができるので、家の周りを大いに歩き回って見たいと思っている。
何よりもうれしかったのは、体育館の利用予約に歩行器で行って、窓口でどんな対応をされるかなと思ったら、実に自然な対応だったことである。
杖で歩く世界と歩行器を使う世界、随分感じが違うので、それぞれ楽しんで見たいなと思っている。