マクロの技術と私の見る力

 今回のシュミランでの2クルーズのダイビングでは、本当にいろいろな経験をした。8キロも太ってしまったのだから、もうダイビングなど無理だと思っていたのに、動いていたらどんどん体の調子が良くなって、またいろいろな事に挑戦する意欲がわいて来た、と言う話は、この間記事に上げた。
 その後も続けて書きたかったけれど、東京への引っ越しの事など、書きたいことが沢山ありすぎて、ちっともまとまらなくて、今日になってしまった。

 「せっかく仕事を辞めたのだ」「時間はたっぷりあるはずなのだから、焦ることないよ」と自分に言い聞かせながら、だけど、記憶が薄れてしまわない内にと、やっぱり焦ってしまう私である。

ピンぼけして見るのもいやな写真
 さて、こんなピンぼけの写真を冒頭に載せると、みんながっかりして、この記事は読みたくなくなるかもしれないが、今日の話題のために絶対必要なので、載せることにした。

 今年の1月のシュミランクルーズで、随分小生物を写真に撮れるようになったと自覚していた私は、今度はもっと良い成果を上げられると期待して、オートではなくてマクロの写真に挑戦してみた。

 その最初の内の作品が上記の写真である。
 いくらデジタルカメラで、失敗作は消しても良いのだし、何枚撮ったって現像する必要はないのだから、いくら失敗しても良いのでは。などと言っても、こんな写真ばかり見ていると、気持ちが萎えて来る。
 「いくらガイドさんが優秀で、私に小生物を見せてくれるように努力してくださっても、良く見えていないと言うことには変わりがないのだし、自分の目ではピントが合っているのかどうかも分からないのだから、マクロはあきらめるべきかな」と思いかけたのだが。

希少なタカラガイの写真がピンぼけしている
 世界屈指のダイビングポイント「リチュリューロック」の岩陰にひっそりといた、このタカラガイは、図鑑で見ると、黄色と紫といった方が良いのか良く分からないほどきれいな色のストライブをしているのだが、私が撮った写真は、ご覧の通りピンぼけ。

 とても残念がっていたら、「もう一度挑戦して見ますか」とエミさんというガイドさんが言ってくれて、もう一度トライしたが、またまたピンぼけ。
 さすがに悔しくて、写真の腕がプロ級のShojiさんやエミさんを捕まえては、初歩的な機械操作から距離の取り方まで教えていただく事になった。

陸上で植物を被写体に距離の取り方を練習
 1クルーズ目と2クルーズ目の間に泊まったリゾートホテルには、熱帯の美しい花が咲いていたので、それを被写体にしてマクロの距離の取り方を練習したり、遅まきながらカメラの説明書に目を通したりして、2クルーズ目、こりもせずにまたマクロに挑戦することにした。

ピントが合って全体がきれいに撮れたモンタシャコ イザリウオ 拡大しても体の構造が分からない
(写真左モンタシャコ 右イザリウオ)

 Shojiさんやエミさんの示す被写体をカメラのターゲットマークの中に入れるようにして、距離は勘で合わせて、何枚も撮ると、ピントが合うのも出て来るようになった。
 少しずつピントが合って来ると、うれしくなって来て、意欲がどんどん増して来る。

 2クルーズ目の時、特にうれしかったのは、Shojiさんやエミさんもカメラを持って入ってくださって、私をガイドしながら同じ被写体を撮影してくれたこと。学ぶと言うのはまねることと言うけれど、特に距離の取り方を見ていると、とても参考になった。
 もう一つ、カメラを持って入ってくださった事でうれしかったのは、私が大分水慣れして、ずっと見ていなくても1人で安全に潜れそうだと思ってくださったのかと思ったことである。

スカシテンジクダイの群れ
 写真は、スカシテンジクダイの群れと、私の横でカメラを構えているエミさんのカメラであるが、群れを撮るのはとても難しく、しかもこんなに小さな魚にピントを合わせるのは難しいので、私は、エミさんをちらちらと見ながら、距離の取り方や、カメラの方向などを見て、10分くらいそこにいた。

砂の上に動いている被写体を自分で見つけて感激
(写真 オグロトラギス)

かわいい目のギンポ
(写真 岩穴から顔を出すギンポ)

 マクロで、何とかピントが合いだして、人に見せてもそんなに恥ずかしくない写真が撮れるようになったのは、今回のダイビングの大収穫だが、実はもっと私がうれしかった事は、自分でオグロトラギスを見つけて、自分で被写体にできた事。また、岩の穴から目ばかり出ているようなギンポを、裸眼で確認できて、ギンポと眼があったような(私の錯覚かも)気がして、とにかくレンズを通してとか、拡大してではなくて、自分で見られたことが、すごくうれしかった。

 私の視力が上がることなど考えられないが、もしかしたらマクロの練習をする中で、私の視経験がまして、見る能力が少しアップしたのかな。などと、非科学的な事を考えたりしている。

 今回の事で、もう一つ古くて新しい教訓を思い出した。「障害があるから無理」と言う逃げ口上は、いつでも使えるし、そこに逃げ込むと楽だけれど、「マクロは見えないからだめ」と言うのは本当ではなかったと言うこと「カメラの扱いを勉強しないからだめ」だし「魚の事を知らなければだめ」だし、「ダイビングのバランスがしっかりしないとだめ」なのであって、障害のせいにするのは、一番最後にしないといけないという、私にとって古くて、そして新しい教訓をまた再確認できた事である。

 マンツーマンでガイドしてくださって、私の初歩的な質問をいやがらずに教えてくださって、そして何よりも、「あなたにもできるよ」「ちゃんと勉強すればできるよ」と励ましてくださったスタッフの方たちに、またまた感謝です。

 生活が激変するので、次いつ行けるか、今見当がつきにくいけれど、なるべく早く、体が覚えている内に、また行って、つづきを教わりたいと思います。その時は、よろしくお願いしますね。