底知れないダイビングの魅力

狂乱状態で補色に夢中の魚たち

 この写真なんだと思いますか。この状態を見たときの、私とガイドのエミさんの感動は、言葉では言い表せないものでした。

  実はこれ、シュミランでの2クルーズ目のボン島で出会った驚くべき光景でした。

  2クルーズ目はちょうど大潮の時期で、潮の流れが速く、1クルーズ目に潜った同じポイントも、雰囲気が全然違っていました。
  私とエミさんは、私の体力に合わせて早い流れをさけながらゆっくりと、茶色の岩壁に近づいて行きました。突然、エミさんが私をひっぱって、一生懸命指さしているのですが、最初私には、岩の壁しか良く見えなくて、いったい何を指しているのかなと近づいた所、この光景が見えて来ました。

 岩棚の所にスカシテンジクダイが何十万匹も群れていて、それをアミメフエダイや、大きなハタや、その他いろいろの魚が興奮状態でスカシテンジクダイを補食しているのです。

 近づきすぎると魚たちが逃げてしまうのではないかと思って、最初の内、私もエミさんも、遠くの方からおそるおそる撮影していたのですが、魚たちの興奮に釣り込まれるように、じりじりと近づいていきましたが、魚たちは私たちの事など無視して、夢中で食べています。

霧中で食べているヘラヤガラをパチリ
 普段は遠くからしか見ることができない、細長くて大きなヤガラが逆立ちして、筆の先のようなしっぽの毛をゆらゆらさせながら、とにかく夢中で食べています。思わずヤガラの目を見つめてしまいました。本当に手を伸ばしたらつかめそうな所で繰り広げられる光景に唖然として、写真を撮るのなどすっかり忘れてしまい、30分近く見入ってしまいました。

 夢から覚めたようにそこを離れて、またゆっくりと泳いでいるとエミさんが、「これ撮って見て」と指さす先にあったのは、海の中ではごくごくありふれた「イバラカンザシ」

臆病者のイバラカンザシ
 ありふれているけれど、これマクロで撮るとお花のようでとてもきれいです。しかも、イバラカンザシは、すごく臆病なので、下手に近づくと、すぐ引っ込んでしまいますから、マクロできれいに撮るのはすごく難しいのです。
 マクロって面白いですよね。もし何にも大物とか見られなくとも、イバラカンザシやソフトコーラルなど、被写体は山ほどあります。

 さて、いよいよ最終ダイビングになって、砂地がきれいでオオロラハゼなどのアンダマン海独特のハゼなどを一生懸命撮って、そろそろ浮上と言うときになって、いきなり目の前にカマスの大群が現れました。

カマスの大群




遠くで見ると銀色だが近くで見ると黄色く見えるカマス

 カマスの群は、遠くで見ていると銀色に輝いて見えますが、反転して私のそばを通った時には、なぜか黄色みががって見えて、とても不思議な感じがしました。
 Shojiさんが、私たちが撮影しやすいように、カマスの群を追い、群が一斉に向きを変えるとき「ぼっ」と言う鈍い音が聞こえて来ました。

 「大群が一斉に向きを変えるときにぽって音がするから面白いよ」と、前に何回もエミさんが教えてくれていましたが、私はこの時本当にその「ぼっ」と言う音を聞いてまたまた感激でした。

 ダイビングの魅力は本当に底知れなくて、私は死ぬまでこの魅力から離れられないのだろうと思います。また潜りたいから、もう一度ダイエットをして、コンディションを整えて、それから、とにかく新しい仕事も見つけて、お金も稼がないと。などと生きる意欲がわいてきます。

 こんなすてきな体験をさせてくださった、eダイブの皆さん、本当にありがとうございました。また行きますからね。よろしくお願いします。