私は、昨年の12月29日に高知を離れて、タイのスミランでダイビングをし、東京で、学会や研究会に出て、昨日の夜遅く20日ぶりに高知に戻って来ました。
その間、電話で様子は聞いていましたが、ずっと母には会っていなかったので、今日は、どうしても母の所に行かなければと思って、留守中にたまった仕事をかたづけるのも、途中で放り出して、病院に行きました。
母のベッドの横に立って声をかけると、すぐにこちらを見て「あら久しぶりね」と言ってくれた母は、それから、次々にいろいろなことを話し始めました。
「久しぶりにおばさんにお芝居の切符をあげたら、とても喜んでくれたの」、「お金どうするのって聞かれて、いらないって言ったら、おばさんとてもうれしそうだった」とか、
「あなたが3歳の時に、赤い着物の晴れ着を着て、あれ何のお祝いだったか、あなた覚えていないかしら」とか、
枕元に友人がもって来てくれた花を見ながら「すごくきれいよね。このチューリップは大きいわね」とか、
母の意識の中では、今東京の家にいて、叔母とお芝居に行ったり、私の小さい時に写真を見ていたりしているようで、話は次々に変わって行くのですが、とても楽しそうな表情でした。
この何ヶ月かの間、私が訪ねた時は、いつもうつらうつらしていて、ほとんど話のできなかった母です。こんなに生き生きとして、活発な母を見ると、何とも言えない気分になって、1時間近く、いろいろな話を聞いて、「次はいつ、こんな母に会えるのか」、「もしかしたら、もうこんなに多弁な母には会えないのではないだろうか」などと思いながら、後ろ髪を引かれる思いで、家路についた私です。
この出来事は、どうしても今日書いておきたかったほど、とても印象的でした。