点字カラオケで心が解放されて

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 昨日シュミランクルーズから帰国したばかりの私。
 すてきな写真も沢山撮れたので、まずそのことをブログに書こうと思っていたのだが、今日は、久しぶりに心がすごく解放される、感激的な体験をしたので、感激が薄れないうちに、そのことから書いて行きたいと思う。

 11月の末に高知で、視覚障害者用の便利グッズの即売会を行った時に、協力してくださった日本点字図書館の方たちと、盲学校時代の懐かしい先輩たちと、私が東京にいる間に、カラオケを歌って楽しもうと言う計画があったのだが、ちょうど、開発中の「ピンディスプレイ」を使ったカラオケシステムの取材が入ったとのことで、私たちの集まりは、その開発中の機器を使って行うことになった。

 「え、テレビの取材を受けながらカラオケ歌うの」と、内心不安な気持ちで、半蔵門にある株式会社日本テレソフトの事務所に入って行った。

 殺風景な事務所に置かれたカラオケセットと、テレビ取材のクルーは、ちょっと異様な感じがして、せっかく久しぶりに好きなカラオケが歌えると思って、楽しみにしていた私は、少しがっかり気味であった。

 セットされていた視覚障害者用のカラオケセットとは、ディスプレイに景色と歌詞の出てくる普通のカラオケ機械の横に、ロービジョン用の大きな文字で歌詞の出てくる、ディスプレイと、歌の進行とともに、点字で歌詞が打ち出される点字ディスプレイであった。

ピンディスプレイに表示される点字を読みながら歌う様子  黒い画面に白く大きな文字で歌詞が映し出される
 
 取材のカメラを意識して、はじめ堅かった雰囲気も、テレソフトの方の粋な計らいでビールが登場すると、すっかりほぐれて、思い思いに、好きな歌をリクエストして、点字や大きな文字を頼りに、どんどん美声が飛び出すようになった。

大きな文字に目を近づけて熱唱する知人
(大きな文字に身を乗り出して見入りながら熱唱する私の知人)
 このイベントに集まっていた人たちは、60代に突入した私を始め、だいたいロートルばかりで、きちんとした漢字の教育を受けていないので、画面に映し出された大文字の漢字が見えても、読み方が分からないときがあった。その時、点字で歌詞をなぞっていた全盲の知人が、ロービジョンの知人に歌詞を教える場面が何度もあって、そこにいる人たちが、皆感激した。

 どうして感激したかと言うと、通常なら、全盲の人は、歌詞を読んでもらって助けてもらう立場に立つことはあっても、歌詞を教えてと助ける立場などには立ちようがないからである。
 カラオケを歌う仲間は、もちろん皆楽しく歌える仲間で、助け合いなど当たり前だけれど、助けられるばかりと言うのは、やっぱりつらいので、助けることが出来、歌詞を聞きながら歌う遠慮のない、この点字ディスプレイは、実にすばらしい。

大きな文字の画面を見ながら点字も読んで熱唱する私
 0.2視力があって、視野の正常な私にとって、黒い背景に白地の大きな文字が出てくる画面は、良く見えるのだが、時々漢字が読めなくて困る。それを点字で補うと、実に使い勝手が良くて、すごい開放感。50年ぶりになる「君の名は」の主題歌や「黒百合の歌」なんかをどんどんリクエストして、歌いまくり、あー爽快。こんな気分は、久々である。
 つくづく点字が読めて良かったと思う。

 「歌詞を読んでもらえば別にこんな機械は必要ない」と言う声も聞こえて来そうだが、誰かに頼るのは、やはり遠慮があるもので、自立して遊べると言うのは、とても大切なことなのだとつくづく思った。
 点字での歌詞の出方が遅かったり、文字数が多いとうまく表示しなかったり、いわゆる詳細読みや分かち書きは、まだまだ完全ではないけれど、それは徐々に改善して行けば良いのであって、このセットが早く普及してくれると良いなと思った。

 所で、今日の取材は、点字を発明したルイ ブライユの生誕を記念しての点字にまつわる特集で、福祉ネットワークの企画、放送は、2月3日(火)の午後8時から、NHK教育テレビだそうだ。
 点字にまつわる特集だから、カラオケの部分は、たぶんほんの一瞬だろうと思うけれど、もし興味のにある人は見て欲しい。

 歌いながらかんビールを2本、そしてその後、場所を変えて、沢山飲んだので、どうも切れのある文章にならなくて、感激が充分伝えられなくて残念だけれど。
 もしかして、飲んでなくてもそんなにうまい文じゃないよと思っている人も沢山いるかも。
 とにかく、忘れない内に、書いて見ました。お休みなさい。