後見人選任手続きがもう少しで

母の枕元に赤いバラの花があって

 「もし私が事故か何かで母より先にいなくなったら、母の生活はどうなるのだろう」と言う不安が、昨年突然心に浮かんで、そして消えなくなった。
 そこで、弁護士さんに相談したら「私が母の後見人になって、後見監督者を選任してもらって、後見人の私に何かあったときは、後見監督人が母の後見を引き継いでもらう」と言うのが妥当な線ではないかとアドバイスを受けた。

 所が、後見監督人を付けるというのは、通常家族の間で財産争いがあるか、後見人が財産を使い込む恐れがある場合だと言うことで、手続きが難航して、なかなか進まなかった。

 1年かかったけれど、ようやく今日、家裁の調査官の方が母に会いに来て、そして母の意志を確認してくれることになった。
 
 いろいろなことで多忙だった私は、調査に立ち会うために10日ぶりに母の所に行った。私にとっても初めてのことだったし、少し緊張していた。
 そんな私の目に、母の枕元におかれた花瓶に生けたバラの花が飛び込んで来た。
 
 私の仕事仲間で、そして知人の方たちが、交代で1週間に一度ほど母の所を訪ねてくれていて、母が花好きなので、いつも母の枕元に季節季節の花をおいてくれている。母もとても喜んでいるし、私もそして病棟に面会に来る方たちからも、この花のプレゼントがとても喜ばれている。

 いつもとても感謝しているが、今日はいつもにまして特別な気分になった。実は、この仲間たちの1人が私の後見監督人を引き受けてくださっているからである。
 私は、母と2人で高知に来た。来てすぐに母の具合が悪くなって、入院生活もずいぶんになる。在宅の介護と違って、母の周りにはいつも沢山の専門家の方がいて、とても安心だけれど、でも1人で母のことを見ていると、とっても不安になる。その不安を、私の知人たちがずっと和らげて来てくれていた。
 
 その方たちの中から、後見監督人が選任されたら、どんなにほっとするだろう。
 今、老老介護の事例や重い障害者の両親が高齢化し「私の亡き後は」と心配している事例がどんどん増えている。
 財産争いとか、財産を使い込む恐れがある場合だけでなく、後見監督人が必要なのではないだろうか。もっと気軽に、この制度が利用できて、現状に合ったものになることを、心から願う私である。