視覚障害者に情報を正しく伝えるには

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 鉄道の線路で高知市の交通は分断されていたし、県庁所在地の駅とは思えない田舎の駅だった高知駅がリニューアルされてこの2月26日にオープンした。
 今までの駅と違って3階にホームのある新しい駅は、建設の最初からバリアフリーに配慮して、各障害者団体や専門家と話し合いを行いながら設計され建設された。
 そのことも画期的なことなのだが、オープンの5日前に、視覚障害者のために特別の見学会が開かれたのは、すばらしいことであり、私もその見学会に参加させてもらった。

大屋根が特徴的な高知駅の姿 駅の正面階段を上る視覚障害者と付き添いの人達
〈左の写真は大屋根が特徴的な高知駅、右は駅の正面階段を上る視覚障害者と付き添い〉

 どんなに正しく点字ブロックが引かれていても、設備が良くできていても、視覚障害者〈特に全盲の人〉は見えないのだから、実際にその上を歩いたり触ったり体験しなければ、新しい場所や設備を理解することはできない。これは考えてみれば当たり前のことなのだが、実はほとんど一般社会には理解されていない。
 そんな視覚障害という障害の性質を理解して、このような見学会を開いたJR四国の粋な計らいに私は感激したのである。 

線路に下りてホームの高さや待避する場所を確認 待避スペースを探検する視覚障害児と先生
〈左の写真は線路に下りて実際ホームの高さやホームから転落した場合に待避する場所を確認している視覚障害者、右は盲学校の先生と一緒に待避場所に入り触っている視覚障害児〉

 「ホームから線路って意外と高さがあるんだね」「線路の間にあわてて寝ても、この線路の高さだったら列車を避けるのは無理だね」など、実感として納得した視覚障害者の人達。
 当たり前だけれど一度列車がここを走るようになったら、絶対に体験できないことを、皆じっくりと体験できたのである。

線路に下りて記念撮影をした私 こんな機会はもう二度とこないと思って、私も線路に下りて記念写真を撮ってもらった。

 この駅のいろいろな表示や階段の段差が分かるように引いたラインなども下の写真のようになかなか良くできていた。
段の端に黒と赤ではっきりと区切り線のある階段 コントラストがくっきりとしたトイレなどの表示

 ただ少し惜しいなと思ったのは、下の写真のように点字ブロックと床のコントラストや、何両目という表示とホームの白い色のコントラストが足りなくて分かりづらいと感じた点。どうも基準で色などが決められていて変えられないらしい。
点字ブロックと床のコントラストが悪い 車両の番号を示す数字とホームのコントラスト

 1時間ほどで終わった見学会だが、とても良い試みだったし、今後新しい建物や設備がオープンするときには、このような見学会がいつもあると良いなと思った次第である。