私にとっては一大イベントだった第6回の高知福祉機器展も無事終わり、もう一つのイベント、7月8日の「視覚障害者用機器の展示即売会」も、約150名の来場者で、盛況の内に終わったので、「これからは、もっと度々母の所に行こう」などと思っていたけれど、イベントのために押せ押せになっていたルーチンワークがぎっしり。結局母の所には、週に1回行くか行かないかの状態。
そんな私が、たまに母の所に行くと、いつもタイミングが悪くて、母はぐっすりと眠っているばかり。
「辛そうじゃないし、穏やかな顔をしているから良いか」と思って、1時間ほど枕元に座って、帰ってくるのだが、なんだかちょっぴり寂しい、最近はそんなことが続いていた。
所が、今日はいつもと様子が違っていた。
病室に入って母のそばに行くと「銀行からお金をおろしてきて欲しい」といきなりいわれて、まずびっくり。「お金何に使うの」と聞くと「明日のお米を買わないと」と母。
それから、約1時間、近所の人が亡くなったのでお香典を持って挨拶に行きなさいとか、掃除の話だとか。本当に次から次へと話が弾んだ。
最初は、良く意味が分からなかったけれど、じっくり聞いていると、母の頭の中は、母の若いときのことで一杯で、一生懸命に家計のやりくりをしたり、近所づきあいに気を使っているのだということが分かってきた。
「お米や食べ物は私がちゃんと買ってそろえているから大丈夫よ」といったら「あんたの給料でそんなものが買えるの」といわれたのにはちょっとびっくり。この時の母の頭の中では、どうも私は10代の娘だったみたいである。
こんなやりとりが続いた後、母はうとうとと眠りはじめた。ちょうど雨も激しくなってきたので、私は家に帰って来た。
今日は、久しぶりに母と話せてうれしかったけれど、ちょっぴり複雑な気分の私である。