こんなことがなくなるまでは活動止められない

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 ゴールデンウイークのまっただ中、ゆったりした気分でなどと思っていたら、友人からひどくショックな話を聞いてしまって、愕然としたと同時に、むらむらと闘志がわいてきた。

 その友人もロービジョンケアに携わっているのだが、久しぶりに電話をした私にこんな話をしてくれた。

 「良い相談者に出会わないと人生だめにするよ」 「え! 何のこと」と私
 「つい最近こんなことがあった」と話し始めた。

 後何年かで定年になる公務員の方から相談があったのだそうだ。
 黄斑変性症という病気で、視力が0.4ほどに落ちて、不安になったその人が、ある眼科医を訪ねたそうである。そうしたら「事務仕事を続けるのは難しい」といわれたのだそうだ。

 そういわれて、その方、すっかり落ち込んで鬱状態になり、精神的なことで休職、意を決して退職届を出そうと思ったのだそうだが、昔々どこかで聞いた情報を頼りに、最後だと思って、私の友人のところに相談してきたのだそうだ。

 友人は、ルーペなどを紹介して、「これで充分に仕事ができるでしょう」と説明したら、その人みるみる元気になって、今は、職場でしゃきしゃきと働いているのだとのことだ。

 「良かった、退職届など出さない前で」と、私もほっとした。
 視野の障害がどの程度なのかは聞かなかったけれど、0.4も視力が残っているなら、通常ちょっとした工夫で事務仕事が続けられる。
 もし、それが非常に難しい場合でも、この4月に人事院が出した通達があって、視覚障害者が休職期間中にリハを受けることや新しい職場に適応するために研修を受けることが公費で認められたのである。
 この通達、とりあえず国家公務員向けに出されたものだけれど、すでに県や市町村にも、この方針が伝えられていて、地方公務員もこれに準じた扱いを受けられるはずである。

 この人、ハローワークの障害者担当にも相談したら「目が悪いと仕事はない。退職してボランティアでもやったら」といわれたらしい。
 盲学校にも行ったらしいが、そこでは三療業の免許をとる方法についてしか教えてくれなかったそうだ。

 このケース、実は珍しい話ではないのだと思う。まだ中途視覚障害者に対する関係者の認識は、専門家も含めてこの程度である。全くとんでもない話である。

 確かに、中途視覚障害者については、世間一般こんなところなのだが、実は、他の障害の問題や、高齢に伴う問題でも同じような誤った認識がまかり通っていて、それで泣かされている利用者は、とても多いのではないかと私は考えた。

 専門家なのにろくに知識も持たず、不用意なことをいって、そのことがどんなに人の人生を左右するかの認識も持たず。そんな専門家や相談機関があまりにも多いのではないか。
 「こんな理不尽なことがなくなるまでがんばらないと」、決意を新たにした出来事であった。