母がテレビをみてくれました

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(左の写真は、母がテレビに注目しているところ 右は、うとうとしているところ)

  今日は、久しぶりに何も予定の入っていない土曜日、歯医者の診察を終えた足で、母のところに行きました。
  三日ほど前に母のところに行ってくれた知人が、「テレビを見ませんか」と誘ったら、「見たい」と母が答えたので、テレビカードを探したのだけれども見つからなくて見せられなかったと連絡してくれていました。
  その連絡に対して、私「え! ほんとうかな」と実は思っていたのです。

  私は、高知福祉機器展の活動をする中で、沢山の看護師さんや理学療法士の方たちと出会い、友達づきあいをさせていただくようになりました。そして、その何人かが、定期的に母のところに様子を見に行ってくださって、忙しくてなかなか母に会いに行けない私をサポートしてくださっています。私、本当に助かっているのです。

  この何ヶ月か、随分弱ってきてしまった母、特に11月末に呼吸の状態が悪くなって、「もしかして」と思ったこともあって、そして、私が会いに行くと、いつもほとんど眠っている母を見ていましたから、「母がテレビを見たい」と言った」とか、「今日は、いろんな話をしてくれました」と言う友人たちの連絡を見ると、精神的に落ち込んでいる私を励ましてくれているのかなと、そんな風に思っていました。  
 
それで、「テレビを見たい」と言った言葉は、あまり信じていませんでしたが、せっかく働きかけてくださっている友人のことを思い、今日は、病院の方にお願いして、電源を差し込んで、アンテナをつないでもらい、テレビカードも買い直して、テレビが見られるようにして見ました。

 今日は、入浴日だったので、入浴を終えた母は、ぐったりして呼吸も早く、私が枕元に行って話しかけても、ほとんど反応してくれませんでした。
  「やっぱり無理か」と思いながら、せっかくセットしたテレビを、私は、ぼんやりと見ていたのですが、突然母が、目を開いたので、「テレビ見てみようよ」と言って、イヤホーンを母の耳に入れてみました。
  はじめは、うつろで、全然反応しなかった母、ちょうど、3分クッキングのテーマ曲が流れて来たあたりから、視線がテレビの方にはっきり向いているのが分かりました。「懐かしいね、3分クッキング、随分長く続いているよね」と私。
  イヤホーンは、母がしているので、何を作っているのか、私には分からないのですが、画面では、野菜を痛めて、パン生地につめて、オーブンに入れて焼いているところでした。「これピロシキ作っているのかな」と私が聞くと、「そう」と母が言いました。

  目はくるくると動いていて、力があって、ちゃんと見ていました。
  ただ、しっかり見ていたのは、10分程度でしょうか。またうとうとと眠り始めましたが。
  ちゃんと働きかけて、刺激を与えたら、まだまだ反応してくれる母、勝手にあきらめてしまっていた自分が恥ずかしくなりました。
  こと、障害者の問題になると、「どんなに重い障害のある人でも、きちんと働きかけをしたら絶対に違います。ちゃんとその人なりに伸びて行きます。」などと講義している私ですが、高齢者のことになると、簡単にあきらめてしまう。これでも福祉の専門家といえるのでしょうか。自問自答してしまいました。

  帰り際、病棟の看護師さんや介護スタッフの方たちに、「母がテレビを見ました。時々声をかけて、誘ってみてください」と頼んで来ましたが、皆さんとても忙しそうでどこまで信じていただけたか、ちょっぴり心配です。