慢性病とつきあうのは難しい

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  1週間ほど前からブリッジにしていた古い虫歯がうずき始めた。実は、この歯、今年の4月にも痛むようになって、掛かり付けの歯医者さんに行ったのだが、その時「支えにしている歯の骨が歯周病にやられているので、抜いて新しく作り直さないとだめです」と言われていた。

  歯をかぶせるのに使ったのは、今はやりのセラミック、他の歯の色と変わらない白で、ちょっとおしゃれで金額も高かった。「つくってからまだ2年ほどしか経っていないし」、抜いて作り直せば、またお金もかかるし。などと考えている内に、とりあえず痛みもなくなったし、「様子を見せに来てくださいね」と言われていたのに、何となく歯医者に行くのがいやで、足が遠のいてしまった。
  半年間は、何事もなく痛みもしなかったので、ドクターはああいったけど、収まってこのまま行くのだろうと、淡い期待をかけていたが、1週間前から、ごまかしようもなくなり、ついに今日診察を受けに行った。

  行くとすぐにレントゲンを撮って、半年前の写真と比べながらドクター「あっ半年前にはあった骨がすっかり溶けてしまっています」「随分歯周病進んでしまったですね。ちゃんと来て消毒していればここまで進まなかったのに」と言う。骨がなくなっているのは、目の悪い私でもはっきり分かった。「抜くしかありませんね」と言われ、その場で抜いて、そして、今麻酔が切れかけて少しずつ痛み始めている。

  ドクター曰く「痛みがなくても歯周病はすすみますよ」「治ったわけではないのですよ」と。私は、歯周病のこの性質を知っていたが、日常痛みがないのと、お金のこともあるし無視していたのだ。そして、「抜く」と言う最後の言葉を聞きたくないので、医者を避けていたのだ。

  私の父は、糖尿病が原因で亡くなったが、素人の私が見ても、症状がひどくなって、どんなに医者に行くように進めてもなかなか行かなかった。今になって思えば、「糖尿病」と最終的に宣告されるのがいやで、また不安で病院を避けていたのだろうと。この何日かの私の気持ちも同じようなものだった。ただ、私の場合は、お金が惜しいと言う、ちょっぴり欲張りな気持ちだったのだが。

  病気の症状がきつければ、手当しなければいけないという気持ちになるけれど、歯周病をはじめ、私の角膜の病気や緑内障も普段は症状がほとんどない。けれど、メンテナンスは常に必要なのだが、日常の忙しさにかまけ、忘れてしまう。いや、忘れたいのかもしれない。そして、結局ひどいことになる。
  
  障害と言うのも、ある意味で慢性の病気と似たようなもの。メンテナンスが必要だが、続けてするのは難しい。そして最後には、ひどいことになるのである。
  抜いた傷口が痛み始めたので、今日は、これで終わりにする。