「月刊視覚障害」に視覚障害リハビリテーションやロービジョンケアの現状について執筆させていただいた時には、視覚リハやロービジョンケアのことを、少しでもいろいろな方に知っていただきたいという思いを、月刊視覚障害の編集室が理解していただき、その許可を得て、雑誌発売から1ヶ月が経った上で、私のブログでも公開させていただいています。
11月号には「災害時の視覚障害者支援の現在地」という特集が組まれていて、私は、その特集の最初に一筆所感という形で、私たちが災害時に生き残る力を養うために、視覚リハがどんなに大切かと言うことを書かせていただきました。それをブログに載せます。
下の写真は、月刊視覚障害11月号の表紙です。
Page1 一筆所感
視覚リハで平時からの備えを
視覚障害リハビリテーション協会
前会長 吉野 由美子
高齢になってから病気などで全盲になってしまうと、「自分には何もできない」と家に閉じこもってしまい、家族もせめて火傷をさせないようにと、冷たい飲み物やおにぎりなどを用意して出かけて行く…。ここに視覚リハ専門家が関わると、例えば、ポットからお湯を急須に注ぐ安全な方法を指導したり、近所のゴミ集積所までゴミを持って行く方法などを指導したりすることで、本人が「自分もやれることがある、家族の役に立つことができる」という自信を持ち、再び社会の中で生きようという気持ちになっていく。これが視覚リハの効果である。
東日本大震災という未曾有の大災害の支援に視覚リハの専門家として携わろうと試みた時、視覚リハはどのようなことを行っているのかという情報が、当事者にも支援者にも行政などにも届いていないことを再認識させられた。それを機に、情報を届ける努力を重ねてきたが、能登半島地震でもまだまだ不十分であることがわかった。
視覚リハは、見えない・見えにくい状態になっても、生きていける自信を「平時」から養ってもらうことを目指している。災害時は、多くの人が平常心を保てない「緊急時」である。だからこそ、「平時」の積み重ねが重要となり、それが減災対策にも繋がるのではないだろうか。今後も更なる視覚リハの情報提供に力を入れていきたい。
●書きたい事は山ほどあったが
一筆所感はは、500文字で書くのが決まりだったのを、編集者にお願いして600まで書けるようにしていただいて、上記の内容を書く事が出来ました。
大災害なんて勿論来ない方が良いのですが、今、私たちの周りには、次々に起こっています。視覚障害という障害は、目に見える形として捉えにくく、一般に理解されにくい障害です。そんな視覚障害者が必要とする支援の在り方について、是非、この特集を広く皆さんに読んでいただき、関心を持っていただきたいと思います。
雑誌視覚障害は、全国の点字図書館(視覚障害者情報提供施設)で貸し出していますし、盲学校の図書室にもあります。一般の図書館でリクエストして読むことも出来ますし、勿論バックナンバーも含めて買うことも出来ます。また、活字版、点字版、音声版が出ています。
以上です。