まだまだ必要な啓発活動

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 今日は高知県の「網膜色素変性症の仲間の集い」に参加してきました。午前中は、高知大学医学部眼科の上野教授の医療講演でした。

 当事者と家族の方が主な対象の講演ということで、上野先生はスライドをつかっての説明を避けて、網膜色素変性症の治療の動向を一つ一つ丁寧に言葉で説明されました。その姿勢にも感激したのですが、講演の後半の40分ほどは、当事者や家族1人1人の疑問に答えるという形をとられて、そのことにもとても感動しました。

 参加人数が40名ほどだったこともあり、講演は良い雰囲気で進み、当事者や家族の方から沢山の質問が出てきました。

 その中で「私の家族は80を過ぎていて、症状が進んで、今全盲ですが、時々眼が痛むので医者に行きたいというのだけれども、もう全盲だし医者に行く必要があるのですか」といった趣旨の質問がありました。

 それに対して、上野先生は、「色素変性症では痛みが出ることはないが、他の病気を合併していることも考えられるので」と受診を進めておられました。

 会場で聞いていた私はどきどきして、「あ、ここでも」と思い、思わず手を挙げて「私は福祉の立場からロービジョンケアに関わっていますが、ロービジョンで、たとえ全盲になっていても、見え方や眼に異常を感じた時は、必ず受診することを進めています。見えていることを大事にするためや、痛みなどを取ることで毎日の生活が楽になるために、受診をすることを進めていますが、これは、間違っていないですよね」と問いかけてしまいました。
 上野先生は強く同意して下さいました。

 「もう治らないから医者に行ってもしょうがない」とか、「最近見えにくくなってきたのは色素変性症が進んだからで仕方ない」などと素人考えでほったらかしにしておいたら、白内障や網膜の他の病気だったりして、せっかく少し見えていたのをだめにしてしまう例を沢山聞いている私です。
 
 ロービジョンケアのどの段階でも眼科医との関わりを欠かすことができないこと、「保有している視覚の維持の大切さ」、「あきらめてしまわないこと」等々、まだまだ、根気よく啓発活動をしていかないといけない。つくづく考えさせられたやりとりでした。

 午後からは、スポーツを楽しんだり、パソコンで生活を広げたり、就労の体験など、当事者の方達の体験談。その後グループ討論と進み、全体を通して、とても良い会でした。
 
 ここまでの会を高知県の保健所の方達が主催してやっていただけるようになったのは、9年前の高知のことを考えたら、確かにすごい進歩です。
 けれど、上記のようなことがまだまだあるのです。正しい情報が当事者や家族に充分に届いていない以上、まだまだ根気よく啓発活動を続けていかなければと思っています。