作成 2003年3月17日

                                       

            学長特別研究費事業実施報告書

 

事業名 高知県で「ロービジョン(弱視)フォーラムin 高知」を開催し、高知における視覚障害者リハビリテーションシステム確立の要となる医療と福祉・教育の連携の基礎づくりを行う

 

                                          報告者 高知女子大学社会福祉学部

                                                   講師   吉野由美子

 

 1 実施事業のねらい

     (1)ねらい

 平成12年度学長特別枠研究助成費に応募し採択していただいた「高知における視覚障害者リハビリテーションシステムの確立を目指して」を初め、平成13年度の県職員提案事業「ルミエールプラン」への応募採択を含め、私は、社会福祉学部の障害者福祉研究者特に視覚障害リハビリテーションの普及をテーマとする研究者として、高知県の視覚障害者を取り巻くサービスの質向上と、視覚障害リハビリテーションに関わる専門家育成という事業を通して、地域貢献を進めて来た。

 その結果、視覚障害リハビリテーションという分野の存在と、「視覚障害者生活訓練指導員」という専門家の存在が教育・福祉・保健などの分野に広く知られ理解を得られるようになって来た、それと同時に視覚障害リハに対するニーズも着実に伸びて来つつある。 所で、リハビリテーションの成功のカギとなる視覚障害者の早期発見と医療から広範なリハビリテーションへのスムーズな移行を進めるためには、眼科医の理解とそのリーダーシップが必要であるが、残念ながら3年間の活動の中で、眼科医を初めとする病院関係者との連携の手がかりが得られず、方法を模索していた。

 そんな時、日本ライトハウスへの長期研修のチャンスを得、そこで、「九州ロービジョンフォーラム」の代表世話人である柳川リハビリテーション病院眼科部長高橋先生と出会い、長崎で行われたフォーラムにも参加した。フォーラムは、九州だけでなく、沖縄・山口でも開かれ、それぞれの地域のロービジョンケアーを中心とした視覚障害リハの普及に大きな役割を果たしている。

 このフォーラムメンバーを高知に招き、フォーラムを開催することをきっかけとして、眼科医や病院関係者のロービジョンケアーを中核とする視覚障害者リハへの理解を深め、福祉・教育関係者との連携の基礎づくりを行うことがねらいである。


 (2)申請した研究費の内容

 1 申請金額      30万円

 

  2 内 訳

        ・報償費          3万円

(内 容) 高知県内でロービジョンケアーに関心を持ちフォーラム開催後高知県でのロービジョンケアーを中心とした視覚障害者リハビリテーションの強力な要となる眼科医(人選はフ              ォーラムスタッフとともに行う)を講演者あるいはシンポジストとして招くための報償費

                                                      一人30千円

         ・旅費            253220円

(内 容)

 九州ロービジョンフォーラムの代表世話人高橋広氏の福岡からの一泊二日旅費     57.76千円

 フォーラムの中心メンバーで国立函館視力障害者センター山田信也氏の函館からの一泊二日旅費                                        124.26千円

 東京からシンポジスト1名(人選は後に行う)を招くための一泊二日の旅費           71.2千円

                                                        計  253.22千円

   役務費(手数料など)  16000円

(内 容)      開催案内送付用切手代(80X200)

・需用費(消耗品等)   780円

(内 容)      事務用品など

 

 


 2 事業成果の報告

 (1)具体的に実施した内容について

 別添のプログラム(ピンクの表紙)と専門家向け講習会資料(ブルーの表紙)を参照のこと。

 

 (2)来場者数

 3月8日(土)

  一般向け公開シンポジューム

視覚障害当事者          35

家族                             

眼科医                      2

視能訓練士                  8

看護師・保健師              4

OT・PT                  2

聴覚言語士                       

視覚障害者生活訓練指導員         

眼鏡師                           

教員(盲学校も含む)              17

福祉(当日ボランティアも含む)   

保育士                           

ヘルパー                         

不明(受付簿に記載なし)          12

                                105名

 

  3月9日(日)

 専門家向け講習会

視覚障害当事者          3

眼科医                      3

視能訓練士                  12

看護師・保健師              2

OT・PT                  3

視覚障害者生活訓練指導員         

眼鏡師                           

教員(盲学校も含む)              15

福祉(当日ボランティアも含む)   

不明                             

                                55

(上記は、教材費を払って、ワークショップに参加した方で、それ以外に、講義のみ聞いていた方や、機器展示のみ見に来てくれた方は、20名程度)


 (3)申請した研究費の使い方について

 1 高知県内でロービジョンケアーに理解のある先生としては、高知医大眼科教授上野先生をお招きし、講演をいただいた。講師料は、上野先生に支払った。

 2 東京からの講師をお招きすることはせず、柳川リハビリテーション病院から高橋先生と、もう一人のスタッフをお招きして、専門家向け講習会を充実させることが出来た。

 また、高知県立療育福祉センターと共催し、その研究費で、あいち小児保健センターの視能力訓練士川瀬先生をお招きすることが出来た。

 3 役務費(切手)を使って、高知県の眼科医会メンバーのすべてと、他の関係機関に、きめ細かくパンフレットを送付し、広報活動をした。

 

 (4)視覚障害者用機器展示出店リスト

ルーペ・拡大読書機など工学系

バンドウメディカル(ナイツ)

パール

東海光学

メガネのアズマ(徳島)

メガネ田中チェーン(広島)

細川医療機器(高知)

メガネのカドタ(高知)

メガネのクスノセ(高知)

日常生活系

大活字

ジオム社

 

パソコンソフト

高知システム開発


 3 成果分析

 

 今回のフォーラムでは、二日間を通して受け付け簿に記載された参加者は、160名であった。

 過去行って来たこの種のイベントと比べ、今回の参加者の特徴としては、視覚障害当事者が比較的少なく、支援する側の関係者の参加が多く見られたことである。

 支援する側の参加者として、視能訓練士の参加が目立ったことは、フォーラムのねらいが成功であったことを物語っているが、眼科医の参加については、少し残念であって、にり一層の啓発活動の必要性を感じさせられた。また、教員(半数以上は、盲学校教員)の参加が、1日目17名、2日目15名を数えたのは、このような催し物では異例のこととである。

 県外からの参加者も目立ち、徳島・愛媛・宮崎からも、参加者が集まった。

 

 フォーラム開催の目的が、医療関係者のロービジョンケアーに対する理解を深めるを通して、医療との連携を深めることであった点から見て、その目的は、ほぼ達し得たと考える。