アイファインを使って見て思うこと

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吉野由美子

 ケイメイと言うメーカーが、ビディオカメラのホーカスの技法を使って、ロービジョンのための新しい補助具(弱視レンズ)「アイファイン」を生み出しました。前おら興味を持っていた私は、このほど、この貴重な試作器をお借りして、 モニターさせて頂くことになりました。本ページは、そのモニターの意見をメールでやりとりしたものを、そのまま搭載して見ました。
 私は、小眼球で先天性白内障、濁った水晶体を摘出して無水晶体眼となり、矯正視力
0.1、視野正常、読書用の近用レンズとして、キーラーの8倍使用。右目に角膜混濁があるため、主に物を見るのは左目、アイファインも左目で使用している。

   見たい思いは癖になる

  月5日から10日まで、早い夏休みをいただいて、スクーバーダイビングをするため、インドネシアバリ島に行きました。このツアーは、私にとってダイビング歴20年、そして潜水回数は600回になる、記念のツアーでしたが、ツアーを企画したパイナップルツアーズと言う会社も、20周年で、記念のパーティーが企画されていました。
 記念のパーティーの催し物はすばらしくて、それこそ何十年ぶりかでバリに復活したジュゴグと言う竹を使った大がかりな楽器演奏と、子どもたちのすばらしいダンスが私たちの前で演じられ、野外ステージの上には、南十字星輝く降るような星空が広がると言う具合でした。
 野外ステージは、私の席から少し距離がありました。
「アイファイン持ってくれば、あの躍っているっている子どもたちの化粧や、衣装、そして指の動きが良く見えるだろうな」「アイファインなくて残念」
 ジュゴグの演奏を聴き、ダンスを見ながら、私は、そんなことを考えていました。
 そして、ツアーから帰って、池田さんにこんなメールを送ったら、面白い返事が返って来ました。

  
7月10日の私のメールです
   ケイメイ 池田様
 高知女子大 吉野です
 
 実は、7月4日から今日7月10日午後3時過ぎまで、高知を離れ、インドネ
シアバリ島でダイビングをして来ました。とてもすてきなバケーションでしたが、
ご返事こんなに遅れてしまい申し訳ありません。
 所で、バリ島のムンジャガン−ジャングルリゾートホテルで、竹を使ったすご
い楽器、ジェイゴグの演奏とダンスを観賞することが出来ましたが、舞台から随
分遠かったので、つくづく、アイファインが手元にあればと思いました。ダンス
をしている子どもたちのお化粧や表情や指の動きが見たかったのですが、すごく
残念でした。また、空には、南十字星はじめ多くの星が瞬いていました。これに
アイファインのピントは合うのだろうかと想像しながら眺めていました。見える
経験は、本当にくせになりますね。見えるってすごく良いことです。沢山の人に
味わって欲しいものです。
 
 今日、ツアーから戻り、大変疲れているので、ビールを飲んで寝てしまおうと
思いつつ、少し酔ってメールを書いています。表現が少しオーバーかも。

 
7月11日付の池田さんからのご返事です。
高知女子大
吉野先生

 バリ島で見る南十字星は素敵でしょうね。
私も七夕の日子供と天の川を見ていましたが、
eyeFINEを使用して星を見ることは考えていませんでした。
eyeFINEを使っての星空の感想もまた先生のHPで掲載して頂けたらと思います。

 
 
裸眼で星空見える人には、アイファイン使って見てみよう」などと言う発想は起こらないのですよね。考えて見ればそれが当然なのかもしれませんね。
 このご返事のメールを見ながらふと思いました。きっと池田さんたちがアイファインを開発なさる時の想定は、「遠くの黒板を見て、近くのノートに書き写すと言うことを、メガネを変えずに気軽に出来るようなものを造ろう」と言うことだったのだと思います。
 けれど、それを使ってみる方としてみれば、アイファインに、いろいろな可能性を見つけられるのではないでしょうか。
 開発者側が想定してもいなかった新しい可能性を、ロービジョン当事者が開拓して、そして、「こんな風にも使えるじゃないの」と提起して、そんなことの繰り返しで、きっとツールはどんどん進化して行くのではないのでしょうか。

 7月の中旬に、私の手元に購入したアイファインが届きます。そうしたら、いろいろな場面で使ってみようと思います。もちろん星空も見てみなくては、本当にピント合うのでしょうかね。
 すごく楽しみです。また、その経験をここに書きます。楽しみにしていてください。


  
私がアイファインの購入を決めた理由

  イファインのモニターをさせて頂いてから、約25日たち、そのすばらしさを理解しながらも、購入について随分ためらっていましたが購入することを自分の中で決断したので、決断に至るまでの気持ちを、エッセ−風に残しておきたいと思います。
 

  (1)
 私は、アイファインの特徴である遠くから近くへとホーカスでピントを合わせられるすばらしさ。視野の広さ、視界の明るさなどに引きつけられるような魅力を感じていました。しかし、その一方で、長く使った後の疲労と、その疲労に伴って眼球浸透がひどくなることがとても心配でした。
 また、アイファインのもう一つの特徴である「近くを見るときに、30センチぐらい離れて見られるので、姿勢を崩さなくてもすむ」と言う点についても、16歳の時からキーラーの8倍などを使って非常に近い距離で本を読むことに慣れ親しんでいた私にとっては、非常に違和感があり、慣れるのに時間がかかるか、あるいは、慣れることが出来ないのかもしれないと言う不安を与えました。
 そんなこんなで、「きっと日常生活で使いこなせないのではないか」と言う強い不安がぬぐえません。もし、日常生活で使いこなせないなら、19万8千円の金額は、あまりにも高価ですよね。
 でも、一方私には、アイファインを使って見たい物、試したいことがいっぱいあります。「大学で授業をする時、受講している学生さんたちの表情を見て見たいし、顔を覚えることが出来るかもしれません」・「学会でのスライドは、これで見ると便利」・「映画館に行って、俳優の表情をじっくり見たり、字幕がどのくらい読めるか試したい」そして、決定的に思うのは「私の大好きなスクーバーダイビングの時、船の上から景色を見たい」「ジャングルの木々の様子はどのように見えるか」等々。皆さん、知っていますか。潮風はすごく腐食力が強いので、精密機械を持って行くのは禁物です。特にモニター品などとんでもないことです。壊しちゃう確率が高いですから。そんなこんなと考えていたら、やっぱり購入したくなりました。
 私は、56歳、そこそこ働いて、一人前に金を稼いでいるので、アイファインは「自分への贅沢なボーナス」です。そういう位置づけなら買うことが出来ると思いました。それに、身近に置いたら、もしかしたら日常生活での可能性をもっと開拓できるかもしれません。56歳で新しいチャレンジも面白いですから。
 アイファインは、開発が始まって、まだ2年ほどだと伺っています。だから、今は高額なのは仕方ないと思うのですが、いつか、こんなことを考えなくても、もう少し手軽に買えるように、価格が下がってくれることを切に期待しています。アイファインに適合するロービジョンの人たちにとっては、これは、救世主ですから、性能のアップと、そして、価格が安くなること、本当に期待しています。

  (2)
  私は、視覚障害リハビリテーションの普及のため、年に6回ほど、視覚障害者用の様々な機器を持って、何人かの専門家と巡回相談をしていますし、あちこちで講演もさせていただいています。その時に、アイファインを沢山の専門家や視覚障害児(者)の 家族に見せたいと思いました。それは、ケイメイさんには、悪いのですが、アイファインと言う特定の機種を宣伝したいからではないのです。次のようなことを訴えかけるときのシンボルとして使いたいからなのです。それは、「ロービジョンの方たちのための機器は、こんなにも進歩しています。だから、ロービジョンに関わる専門家の方たちは、耳ダンボになって情報を集め、視覚障害児(者)が少しでも良く見えて楽しく暮らせるよう援助して欲しい」こと、「この人には、もう少し良い機器があるのではないかと考えて、視覚障害者生活訓練指導員や、ロービジョンを扱っているメガネ屋を紹介して欲しい」こと。家族や当事者の方たちにも、あきらめてしまわず、やりたいことやらせたいことのために使える物がないか探して欲しいこと」などなどを、アピールする時、アイファインは、すばらしい例示になるからです。

 (おまけ)
 先日、ある場所に巡回相談に行ったときのことです。
 私は、専門家や、家族の方たちに見ていただきたくてアイファインを持って行きました。
 この日も、福祉制度のことや、機器の説明など何件かの相談が入っていました。
 80半ばの女性、右目は全盲、左目裸眼0.1の方が、手に、エッシェンバッハ性だと思うのですが、拡大率4倍程度のルーペを持って私の所に来ました。「このルーペは、とてもよく見えて良いのだが、片手がふさがってしまう。今唯一の趣味がミシンで縫い物をすることで、針に糸を通したり、ミシンの縫い目がきれいかどうか確認したいので、両手が使えるように、メガネ式で、このルーペぐらい見える物が欲しい」と言うのです。「出来るだけ遠くから物が大きく見えるような物が良い」とも、言われました。この要求に当てはまる物は、遠近両用の弱視用メガネしか思いつかな買ったのですが、フィッティングに専門的技術が必要なので「ルミエール」の展示品の中には、弱視用メガネはありません。
 たまたま、私が持っていた、ツアイスの2枚レンズで、遠近両用の物(金曜レンズ装着で、30センチの焦点距離で6倍程度の拡大率)を、その女性に試していただいた所、新聞の小さな字がすらすら読めて、すごく喜んでおられました。
 「良く見えるけど、もっと距離を離して見えたら良い」と言うその方に、私にあわせて調節してあるので、とても合わないだろうと思いながら、だめもとだからと思って、アイファインをかけてもらいました。そしたら、3メートルぐらい先に立っている知り合いを見つけて、「何々さんがいる、表情がすごくよく見える」「あの人の着物のがらが見える」壁に貼ってあった、町内の行事の写真(標準サイズ)を、2メートルぐらいの所にたって見て、「あっ、何々さんがたすきかけてなんか踊ってるみたい」「何だ随分白髪増えて年取ったね、この人」など、「長く生きてて、こんな神秘的な物に会ってさ、今日ここに来てほんとに良かった」と大喜び。15分ほどかけていましたが、疲れは感じないとのことでした。「これ、かけて町を歩いたら、知り合いの顔がすぐわかって面白いだろうね」とのこと。あわてて、かけたまま歩くのは危ないと言いましたが。
 私用に調整した物を、他のロービジョンの方が見て、会うなどと言うことは、ほとんどあり得ないことです。だから、私も(2)で目の良い専門家や家族の方たちへのアピール用にだけ、自分のアイファインを利用するつもりでした。ここでの出来事はちょっと出来すぎですし、奇跡に近かったのかもしれませんが、すごく感激しました
 それと同時に、「この方年だし、無理だよね」と、どこかで考えていた、自分の偏見、固定観念を、深く反省させられました。

 (むすび)
 随分長くなりましたが、とにかく、上の二つの理由で、アイファインを購入することに決めました。購入したアイファインで、また、面白いことに出会ったら、このページに書き足して行きたいと思います。
 それから、ケイメイの方とのメールのやりとりを見たい方は、以下の文章も読んで見てください。  


 6月2日(月) 吉野からの最初のモニターメール

ケイメイ 池田様
 高知女子大 吉野です

 昨日は、ありがとうございました。
 実は、今日福岡から高知への帰りの飛行機で、窓側に座りましたし、池田さん
が「車の助手席などで景色見ても面白いですよ」と言った言葉を思い出して、飛
行機の中で、アイファインを装着して、窓の外を見て見ました。感激でしたよ。
田んぼの四角に区切りや、川の流れや、家の屋根などがくっきり見えたときには、
飛行機の高度が変わっても、ちゃんとピントが合うのですから。実は、もっと感
激したのは、窓から視線をそらせて、前の座席のポケットにある雑誌を見たとき
です。文字がきちんと見えましたし、視線を変えて、横の座席の人を見たら、表
情が良く見えましたから、本当に感激しました。近用のレンズをつけると、雑誌
の文字も、すごく良く見えました。ただ、近くに関しては、こんなに離れた姿勢
で、読むのに慣れていないので、焦点距離をあわせるには、まだだいぶ練習がい
りそうです。
 それから、近用のレンズを装着すると、随分重くなりますから、近い距離で長
い読書をすると、大変に疲れるだろうと思います。1時間ほど遊んで、慣れない
こともあって、ひどい疲労感が残りました。
 実は、今、このメールもアイファインを装着して書いていますが、おっしゃっ
たように、コンピューターの画面を見るときは、ピントが合った時点で、スイッ
チをオフにした方が良さそうです。眼球浸透のせいでしょうか、あまりにもしょっ
ちゅうピントを合わせてしまって、せわしない限りです。
 飛行機の窓からは、ナイツの単眼鏡(8倍)も使って、景色の見え方を試しました。ナイツのは8倍ですから、確かに大きく見えるのですが、手元でビント合わせを頻繁にしないといけません。それに比べると、自然にピントが合ってくれて、すごく面白いです。視野も、広いですし、明るいですね。ただ、近用のレンズをつけ
ると暗い感じになります。近用のレンズの質をもっと良い物にしたら、もう少し
明るくなるかもしれませんね。
 
 とにかく、私が思っていたより、有望です。もしかしたら、買いたくなるかもねとにかく焦らずに、モニターして見ます。
 また、ご連絡します。

 6月3日(火)
上記メールに対して宮崎中央眼科病院の土屋様とケイメイの池田さんから下記の通りのメールが来ました。

めてメールさせていただきます 医療法人慶明会の土屋です  私どもの池田 吉村にアイファインの件で色々ご指導頂き有難う御座います。弱視の子供達に学校の授業の中で使ってくれたらいいのにナーと思いながら作りました作品ですが
先生に使用して頂き池田にの感想メール読ませていただきました。製作した者として嬉しいかぎりで御座います。メンバーにも伝えて今後の皆の励みにしたいと思っておりますまだまだ未完成のところと価格の面で色々問題がありますが、軽い機能の良い安い多目的にも使える製品を目標に改良して参りたいと思っておりますのでご指導宜しくお願い致します
                                    
                      宮崎中央眼科病院  土屋利紀

高知女子大 吉野先生

ケイメイの池田です。
感激していただいて光栄です。
今回の開発コンセプトは子供がテレビを見られるようにと”広い視野”を最優先しました。
お使いになる方の視力によっては倍率が低いと言われる方もおられますが倍率だけで捉えると既存のもので色々ありますので今回は視野にこだわりました。
特に発案者である眼科医は子供が普通学校に通えて黒板やノートが自動で見られる道具があればと長年考えていました。
また先生のおっしゃるとおり使い方に関しては慣れが必要です。慣れるまではご注意してお使い下さい。先日お渡しするときに言い忘れたのですがうっかり太陽光を見ないようにして下さい。
また掛けた状態で歩行はできませんので外出時は立ち止まってから装着をお願い致します。
先生の次の体験メールが楽しみです。

株式会社ケイメイ ロービジョン事業部
   池田 亮英
〒880-0021 宮崎市清水3-6-10 MMK3F
TEL:0985-83-2810 FAX:0985-83-2812
mailto: ikeda@eyefine.jp
URL:http://eyefine.jp

  6月7日(日)吉野から次の体験メールを送りました

 池田さん
 高知の吉野です
 
 ホームページへの搭載、許可頂いてありがとうございます。今度まとめて、搭
載します。
 
 所で、今日、日本地域福祉学会と言う、大きな学会がありました。そこで、舞
台の上のシンポジストを見るのに、アイファインを使って見ました。
 会場が混んでいたので、私は、前から10列目ぐらいに座っていました。
 今まで、私は、シンポジストや、パネルディかカッションの登場人物の表情と
か見なくても、話の内容はわかるから、別に困らないと思っていましたが、今日、
表情を拡大して見ていると、やっぱり面白いですね。橋本大二郎知事は、随分白
髪が増えたなとか、今の質問にちょっと困ってるなとか、退屈してるなとか、わ
かると、やっぱり面白いですね。
 ある教授は、ひげがすごくユニークで、話すとき動くとか。あの先生の髪型は
すてきだとか、イヤリングとネックレスが良く調和してるとか。もちろん見えな
くとも、話の内容は、良くわかるのです。文化系のシンポやパネルは、あまりス
ライドとか使わないですしね。でも、見えたら、もっと豊かになりますね。

 アイファインを使った後、8倍のナイツ単眼鏡でも試して見ました。正直に言
うと、会場の暗さと、倍率との関係で、今度は、ナイツの方が使い勝手が良い。
表情もはっきり見えるので。
 
 会の後、居酒屋に懇親に行きまして、そこでもアイファインを取り出してかけ
て見ました。お客さんの表情がよく見えて面白いのですが、壁のメニューと値段
は、ビントがあっているけれど、いまいち見えない。倍率の問題ですね。それか
ら、暗いので、ビントがあいにくいと言う欠点がありました。
 ただ、飲んでる人の表情、面白いですね。たばこをくわえたり、携帯電話片手
にしゃべりながら飲みながら、忙しそうです。
 
 シンポの場面でも、居酒屋でも、別に細かい表情見えなくても困ることはあり
ません。だから、今まで、私は、そんなところで人の表情見ようと努力したこと
はありませんでした。モニターしてやろうと思ったから、見たのですが、先ほど
言ったように、見えると、とても面白いのですよね。
 
 それで、思いました。私は、56歳です。自分の見え方にすっかり慣れて、満
足してしまっています。こうなる前の子どもたちに、是非、見えることのおもし
ろさを教えてあげたいなと、だから、子どもたちがテレビが見えるように考えて
造ったという、このコンセプト、とても大切だと思うのです。
 
 私の場合、実用の生活で、どのくらい使いこなせるか、使い勝手が良いのかは、
今の段階では疑問です。ただ、遊び感覚では、すごく面白いです。
 
 また、ご連絡致します。

 上記メールに対して、下記のお返事をいただきました。
 人の名前はカットさせて頂きました

高知女子大吉野先生

早速、体験メールありがとうございました。
そういえば京都のある大学の教授も講義中に使用していて学生の表情が判るとおっしゃってました。恐らく学生の方は拡大してそこまで見られているとは気づかない様です。
それからピントは確かに暗くなると弱いのですが、今度お会いしたときにピントの確認を致します。ピント合わせが不完全なのかもしれません。
ご自分でもピント合わせができますので、その時にプラスドライバーをお渡しします。神戸で再確認をさせて下さい。

ケイメイ
池田亮英


 
さて、この後は、神戸の視覚障害リハビリテーション研究発表会の後で続けたいと思います。

  6月22日(日)

  6月14日と15日に神戸のポートピアで、視覚障害リハビリテーション協議会研究発表大会が行われました。
 その時の機器展示にケイメイさんも、アイファインを出店すると伺っていたので、私も、アイファインを持参して、モニターしながら、いろいろと話し合いをすることにしました。
     (1) 
  まず、14日の最初のプログラム口頭発表、今は、パワーポイントを使っての発表が一般的になっていますから、ここでもたくさん登場しました。さすが国際会議場の設備だけあって、スクリーンが大画面で、映像も迫力のある物でした。
  発表を見る際に、アイファインを装着して試して見ました。いつもなら、最前列に座って、発表を見るのですが、この時は、モニターすると言う意識がありましたから、前から5列目に座りました。
 まず、視野が広く、視界が明るいことに感激しました。説明の文章が、広い範囲で見えるので、ナイツの8倍単眼鏡を使うときより、早く読むことが出来、発表の流れに従って、画面が移って行くのについて行けました。
 今までは、読み速度が遅いので、見終わる前に、次の画面に転換してしまうことが良くあったのですが、それがない。画面の変化について行けると言うのは、感激でした。
 ただ、その時は、右の使用していない目に、黒い目隠用ガラスを装着していましたから、左目でしか、外の世界が見られない訳で、手元のテキストの位置確認や、会場の全体の様子がつかめず、閉塞感と、いらいらが募りました。

    (2) 
 そこで、移動の時間を利用して、ケイメイさんのブースに行き、右目を解放にしてはいけないのかと聞きましたら、「そのようにして使っている方もいるし、右目に、度数付きレンズを入れて、それで使っている方もいる」ときき、早速右目のガラスを取り外し、解放にして、使いました。
    (3)
 午後のワークショップと口頭発表は、右目解放の状態で、発表を聞きました。
 ワークショップの時は、みんなが和になって座り、資料とスクリーンを利用しての発表をきき、意見交換する状態ですが、スクリーンから、手元の資料、そして、意見を述べている人の表情にと、次々に見る対象を変えて行くと、ピントが合うのを楽しんでいました。
 14日最後の口頭発表プログラムの時になると、疲れのせいでしょうか、眼球浸透がひどくなって、ピントを合わせることが出来なくなりましたので、途中から使用をやめました。
 この日の連続使用時間、約3時間
    (3)
 私の泊まった部屋は、20階で、窓からの夜景がきれいでした。そして向かい側の山に、何か光っている物が見えるので、その日、夜部屋に戻って、アイファインで外を眺めて見ました。倍率の関係か、遠くの山の上の光る物の正体は、はっきり見ることが出来ませんでしたが、近くの道路を通る車のライトや、ネオン、家の窓などがくっきり見えました。不思議なことに、眼球浸透がほとんど気にならないのは、友人との懇親で、お酒を飲んでリラックスしていたせいでしょうか。
 ただ、少し困ったのは、窓ガラスに映っている像に、アイファインのピントが合ってしまって、なかなか外の物に、フォーカスしてくれないことでした。
    (4)
 15日の日は、装着すると眼球浸透がひどく、ケイメイさんのブースで、様々に調整していただきましたが、改善できませんでした。
 3日間の旅疲れと、刺激疲れとで、披露が蓄積していたし、ついモニターが面白くて、目を酷使しすぎたのかとも思います。

 眼球浸透の制御と言うのは、なかなかの難問です。もう少し慣れてリラックスすれば、楽になるのかも。それから、レンズと目の距離が、ほんの少し違うだけで、眼球浸透の状態が変わるようです。
 また、いろいろと聞いて頂いて、最適な状態を教えて頂ければと思います。

   6月23日(月)
 ケイメイの池田さんから、下記の通りの返信メールがありましたので、搭載します。

吉野先生

お世話になっております。
先生のHP拝見致しました。
具体的でとても判りやすいです。私たちがロービジョンの方々や
関係する人たちに説明するのですが(それが仕事なのですが)
時々伝えきれないジレンマを感じます。
やはり使用者の体験談は説得力があります。
全ての機器に言えることですが人によって向き不向きがあり
長所と短所があります。先生の体験談からもeyeFINEの
今後の課題としての問題点が判ります。早急な改善ができないものは
説明の中で付け加えて行きます。ありがとうございました。


神戸で右目の遮へい板は外しましたがメガネの度数を
入れることも可能です。先生の場合近用(近くを見る度数)を
合わせるとよろしいかと思います。
それからホテルの夜景の件ですが窓ガラスの反射にピントが合っている様です。
特に夜ご使用になる際は室内の明かりを消すことで解消します。
昼間は外の方が明るいので問題ありません。

神戸の研究発表会は吉野先生がeyeFINEを装着したまま
質問をされているのを見て会場内で話題になっていました。

株式会社ケイメイ
池田亮英